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うつ病と食事の関係|管理栄養士が考える「食べること」の大切さ

家族がうつ病になったとき、

「何を食べてもらったらいいんだろう?」

「食事で少しでも支えてあげられないかな?」

そんなふうに、食事について悩むことはありませんか?

私自身、家族がうつ病になったことをきっかけに、改めて「食べること」について考えるようになりました。

私は管理栄養士として、これまで食事や栄養に関わってきました。

それでも、家族のこととなると、

「ちゃんと食べてほしい」

「栄養のあるものを食べてもらいたい」

という気持ちが強くなります。

けれど、家族を支える中で感じたのは、

毎食、栄養バランスの整った食事を完璧に用意することだけが、支えになるわけではない

ということでした。

この記事では、管理栄養士としての知識と、家族を支える中で感じたことをもとに、

  • うつ病と食欲にはどんな関係があるのか
  • 食事はうつ病の治療にどう関わるのか
  • 食欲がないとき、家族はどんなことを意識すればいいのか
  • 支える側が頑張りすぎないためにはどうすればいいのか

についてお伝えします。

目次

うつ病になると食欲が変化することがある

うつ病では、気分の落ち込みや意欲の低下だけでなく、睡眠や食欲などに変化がみられることがあります。

日本精神神経学会でも、うつ病の症状のひとつとして「食欲がない」ことが挙げられています。

実際に、

「食べたいと思えない」

「食事を用意する気力がない」

「何を食べるか考えることさえ面倒」

という状態になることがあります。

健康なときなら、

「野菜が足りないから、明日は多めに食べよう」

「たんぱく質もしっかり摂ろう」

と考えられるかもしれません。

でも、心身ともに余裕がないときには、食事について考えることそのものが負担になることもあります。

だからこそ、家族がうつ病になったときには、

「ちゃんとした食事を食べてもらわなければ」

と、支える側が頑張りすぎないことも大切だと私は考えています。

食事だけでうつ病を治すことはできない

ここは、最初にお伝えしておきたい大切なことです。

食事だけでうつ病を治すことはできません。

うつ病は、医療機関で診断や治療を受ける病気です。

症状や状態によって、薬物療法や精神療法などが行われます。また、休養や生活リズムを整えることなども回復を支える要素になります。

そのため、

「この食べ物を食べればうつ病が治る」

「この栄養素を摂れば薬はいらない」

といった考え方はおすすめできません。

では、なぜ食事について考えるのでしょうか。

それは、

食事も毎日の生活を支える大切な要素のひとつだからです。

食事は薬の代わりではありません。

でも、私たちの体を維持するために必要な栄養を摂る機会ではあります。

だから私は、

「うつ病に効く食事」

を探すよりも、

「体調がすぐれない時期にも、無理なく食べられる食事」

という視点で考えることが大切だと思っています。

食欲がないときは、まず「食べられるもの」から

家族が食欲をなくしていると、

「野菜もしっかり食べてほしい」

「魚も食べてもらわないと」

「栄養バランスを整えなきゃ」

と思ってしまうかもしれません。

管理栄養士である私自身も、そう考えてしまうことがあります。

でも、食欲が落ちているときに、品数の多い食事や手の込んだ料理を用意しても、本人にとって負担になる場合があります。

そんなときは、まず食べられそうなものから考えてみます。

たとえば、

  • おにぎり
  • 食パン
  • うどん
  • お茶漬け
  • バナナ
  • ヨーグルト
  • 卵料理
  • 豆腐
  • スープ

など。

もちろん、これらを食べればいいという決まりがあるわけではありません。

大切なのは、

「何を食べるべきか」だけではなく、「今、何なら食べられそうか」

という視点です。

食欲が落ちているときに、完璧な食事を目指して食事そのものが負担になるよりも、まずは本人が食べられそうなものを選ぶ。

そのほうが現実的な場合もあります。

「食べて」と言いすぎないことも家族の支えになる

家族だからこそ、心配になります。

「ちゃんと食べてね」

「これ、体にいいから食べたほうがいいよ」

「野菜も食べて」

つい、そんな言葉をかけたくなることもあります。

私もそうでした。

でも、食べること自体がしんどいときには、心配からかけた言葉がプレッシャーになってしまうこともあります。

そんなときは、

「何なら食べられそう?」

「食べられそうなものある?」

と聞いてみる。

あるいは、本人が食べられそうなものを用意して、無理に勧めずに置いておく。

そんな方法もあります。

もちろん、本人の状態や家庭によって正解は違います。

ただ、

「食べさせなければ」と頑張るのではなく、「食べやすい環境をつくる」

という考え方を持っておくと、支える側の気持ちも少し楽になるのではないでしょうか。

栄養バランスは「1食」だけで考えなくていい

管理栄養士としては、栄養バランスを考えることは大切だと思っています。

でも、毎食完璧にする必要はありません。

朝はパンだけ。

昼はうどん。

夜はご飯とおかず。

そんな日があってもいいと思います。

体調が少しずつ戻ってきたら、食べられるものを増やしていけばいい。

「今日の食事は完璧だったか」

ではなく、

「昨日より少し食べられた」

「以前より食事を楽しめるようになった」

そんな変化にも目を向けてみてください。

食事は毎日のことだからこそ、1食だけで判断するのではなく、長い目で考えることも大切です。

家族の食事を支える人も、頑張りすぎない

ここは、私が家族を支える中で特に伝えたいことです。

うつ病の本人だけでなく、

支える家族も疲れます。

毎日の食事を作って、

栄養バランスを考えて、

体調を気にして、

「今日はちゃんと食べたかな」

と心配する。

それを毎日続けていたら、作る側だって疲れてしまいます。

だから、

「今日はお惣菜にしよう」

「冷凍食品を使おう」

「外食にしよう」

という日があってもいい。

家族のために食事を頑張りすぎて、自分が疲れ切ってしまったら、長く支えることが難しくなってしまいます。

家族を支える人が、自分の食事や休息を大切にすることも大切です。

「食べること」は生活の一部

うつ病の回復には、その人の状態に合わせた治療や休養、生活の立て直しなどが大切になります。

その中で、食事も毎日の生活の一部です。

朝起きる。

顔を洗う。

食事をする。

少し外に出る。

人と話す。

仕事に行く。

こうした日常のひとつひとつが、生活を形づくっています。

だから私は、食事を「うつ病を治すための特別なもの」と考えるより、

「毎日の生活を支えるもののひとつ」

として考えたいと思っています。

食べられるときに食べる。

食べられそうなものを選ぶ。

少し元気が戻ってきたら、食べられるものを少しずつ増やしていく。

そんなふうに、焦らず食事と付き合っていくことも大切なのではないでしょうか。

まとめ|家族の食事は「完璧」じゃなくていい

うつ病の家族を支えていると、

「何を食べてもらったらいいんだろう」

「もっと栄養のあるものを作らなきゃ」

と悩むことがあると思います。

でも、最初から完璧な食事を目指さなくても大丈夫です。

大切なのは、

  • 食欲の変化はうつ病の症状のひとつとして起こり得ることを知っておく
  • 食事だけでうつ病を治そうとしない
  • 食べられそうなものから考える
  • 「食べて」と言いすぎない
  • 栄養バランスは1食だけで判断しない
  • 支える家族も頑張りすぎない

ということ。

食事は、うつ病の治療そのものではありません。

でも、毎日の生活を支える大切な要素のひとつです。

「ちゃんとしたものを食べさせなきゃ」

と頑張りすぎるのではなく、

「今日は少し食べられたね」

そんなところから始めてもいい。

家族を支える食事は、そんな小さなところから始まるのかもしれません。

※この記事は、うつ病の治療や診断を行うものではありません。食欲の変化が続いている場合や、体重減少・脱水などが心配な場合は、自己判断せず主治医などの医療専門職に相談してください。

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この記事を書いた人

こんにちは。nekozeです。
管理栄養士。
私の夫は6年ほど前に適応障害と診断され、そのまま流れるようにうつ病診断となり、休職を経験、転職を経て現在もうつ病と一緒に生活しています。
毎日の食事で、少しでも心の支えになれば──そんな思いで、ゆるく・無理なく続けられる「うつと栄養」のごはんや日々の事を紹介していけたらと思っています。

正直に言えば、食事だけでうつ病が治るとは思っていません。目に見える効果もわかりづらいです。
それでも、日々のごはんが身体をつくり、身体が心を支える。そう感じる場面が何度もありました。実際、夫の症状も少しずつではありますが安定してきているように思います。

そんな体験もふまえて、肩ひじ張らず、ときには手を抜きながら、続けられる工夫を大切にしています。

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